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飲食店

2024.04.12

飲食店の内装減価償却で失敗しないために!耐用年数の確認と経費計上のコツ

皆さん、飲食店を経営するうえで、内装や設備にかかる初期費用はとても大きな投資ですよね。

ですが、その支出をどうやって経理処理すればいいのか、頭を悩ませた経験はありませんか?

ここで鍵になるのが、「減価償却」という仕組みです。
減価償却とは何か、どう計算するのか、正しく理解することで、経営の効率を上げることができます。
そして、それが結果的に税金対策や資金繰りの改善にもつながるんです!

たとえば、内装工事の費用や厨房機器の購入費は、単年度で全額を経費計上するのではなく、耐用年数に応じて分割計上するのが一般的です。
この「分割計上」が、経費を平準化し、税負担を抑えるポイントになります。

この記事では、飲食店経営者の皆さんが減価償却で損をしないために、基本知識から応用のコツまでを徹底解説します。

もし「減価償却って難しそう…」と感じている方がいれば、大丈夫。
一つ一つ噛み砕いて説明しますので、最後までぜひお付き合いください!
きっと「こんなに分かりやすかったのか!」と思っていただけるはずです。

飲食店の内装イメージ - モダンでおしゃれな店舗内観

飲食店経営で欠かせない!内装減価償却の基本知識

飲食店経営において、内装や厨房設備は店舗の顔であり、事業運営の根幹を支える重要な要素です。
ですが、これらにかかる費用を正しく処理しないと、思わぬ税金負担に苦しむことになりかねません。

ここで活躍するのが、「減価償却」という会計処理です。
減価償却は、一度に大きな費用を計上するのではなく、耐用年数に基づいて分割計上する方法です。

この章では、「減価償却とは何か」という基本から、具体的な計算方法までをわかりやすく解説します!

減価償却とは何か

まずは、減価償却の概念をしっかり押さえましょう。
高額な資産を購入した際、その費用をどのように扱うのかで、税務や経営の見え方が大きく変わります。

税務上の扱い

減価償却は、税務処理の上でとても重要な意味を持っています。
たとえば、厨房機器や内装工事費は、一括で経費に計上するのではなく、使用期間に応じて費用を分割して計上する必要があります。

なぜなら、これらの資産は一時的な出費ではなく、長期的に使用されるものだからです。
税務の観点からは、減価償却費として計上することで、利益を適切に調整し、税負担を平準化することが可能です。

会計上の目的

会計の観点から見ると、減価償却は「資産の価値を適切に反映する」役割を果たします。
資産は時間の経過とともに劣化しますが、その減少分を毎年費用として計上することで、実態に即した財務状況を示せます。

例えば、1,000万円の厨房設備を購入した場合、耐用年数に基づいて毎年一定額を費用に計上します。
これにより、過大な利益や赤字を計上するリスクを防ぎ、安定した経営判断が可能になります。

減価償却の計算方法

減価償却を正確に行うためには、基本的な計算方法を理解することが大切です。
ここでは、減価償却の基礎となる「取得価額と耐用年数」や、代表的な計算方法である「定額法と定率法」について詳しく説明します。

取得価額と耐用年数

減価償却の計算の出発点となるのが、「取得価額」と「耐用年数」です。

  • 取得価額:購入価格や工事費用など、その資産を手に入れるためにかかった総額。
    たとえば、厨房機器なら購入価格に加え、運搬費や設置費も含まれます。
  • 耐用年数:資産がどのくらいの期間使えると見なされるかを表す指標。
    これは国税庁の「耐用年数表」に基づきます。たとえば、業務用冷蔵庫は6年、ガスレンジは8年が標準です。

取得価額を耐用年数で割ることで、1年あたりの減価償却費が求められます。
このシンプルな仕組みが、経費計上の核となります。

定額法と定率法の比較

減価償却費の計算方法には、「定額法」と「定率法」という2つの方法があります。

  1. 定額法:毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法。
    たとえば、120万円の冷蔵庫(耐用年数6年)なら、毎年20万円ずつ計上します。
  2. 定率法:毎年の残存価額に一定割合を掛けて計算する方法。
    最初の数年間に多くの費用を計上し、後半は少なくなる特徴があります。

現在では、定額法が標準的な方法とされていますが、選択する際は経営状況に応じて慎重に判断する必要があります。

減価償却の計算は少し複雑に感じるかもしれませんが、基礎を押さえることで確実に対応可能です。
次の章では、飲食店ならではの減価償却資産とその計上ポイントについて掘り下げていきます!

知らないと損する!飲食店の主な減価償却資産

飲食店では、厨房機器や内装工事といった高額な資産が数多く存在します。
これらを適切に減価償却しないと、不要な税負担を背負うことになりかねません。

ここでは、飲食店経営において押さえておきたい主な減価償却資産とその取り扱い方を具体的に解説します。

飲食店の業務用厨房機器 - 冷蔵庫とガスレンジが並ぶ厨房設備

厨房機器の取り扱い

飲食店の厨房は、まさにお店の心臓部です。
日々の業務を支える厨房機器もまた、減価償却資産として扱われます。
正確な耐用年数や計算方法を理解することで、無駄のない経費管理が可能になります。

主な耐用年数

厨房機器の耐用年数は、国税庁が定めた「耐用年数表」を基に計算します。
以下は、飲食店でよく使用される機器とその耐用年数の一例です。

機器名耐用年数
業務用冷蔵庫6年
ガスレンジ8年
フライヤー8年
食器洗浄機6年
テーブルセット5年

たとえば、業務用冷蔵庫を120万円で購入した場合、耐用年数は6年となるため、1年あたり20万円を減価償却費として計上します。

正確な耐用年数を把握することで、適切な経費計上ができるのです。

中古品の計算

中古の厨房機器を購入した場合も、減価償却の対象となります。
ただし、新品とは異なり、計算方法が少し変わる点に注意が必要です。

【中古品の耐用年数計算のポイント】

  1. 新品価格の50%以上で購入した場合:新品と同じ耐用年数で計算。
  2. 新品価格の50%以下で購入した場合:以下の計算式で耐用年数を算出。

計算式:
耐用年数 = 新品の残存年数 +(新品の耐用年数 × 経過年数の20%)

例)新品120万円の冷蔵庫を40万円で購入した場合:

  • 新品耐用年数は6年
  • 使用済み期間が2年
  • 残存年数4年 +(6年×20%)= 4.4年 → 切り捨てで4年

この計算式を基に、正確な減価償却費を算出しましょう。

内装工事の償却

内装工事も飲食店にとって欠かせない要素です。
厨房やホール、トイレなど、店舗全体に関わる工事費用は建物の耐用年数を基に減価償却を行います。

ただし、自社所有の建物と賃貸物件では耐用年数の考え方が異なるため、注意が必要です。

自社所有建物の場合

自社所有の建物の場合、内装工事費は建物本体の耐用年数に基づいて減価償却します。
たとえ木造の内装であっても、建物が鉄筋コンクリートであれば、鉄筋コンクリートの耐用年数(41年)が適用されます。

【例】
鉄筋コンクリート造の建物で、内装工事に800万円をかけた場合:

  • 建物の耐用年数:41年
  • 800万円 ÷ 41年 = 約19万5,000円/年

このように、内装の材質ではなく建物の構造に基づいて計算することがポイントです。

賃貸物件の場合

賃貸物件の場合は、賃貸期間または合理的に見積もった耐用年数のどちらか短い方が適用されます。

  • 賃貸期間が明確な場合:契約期間を耐用年数として計算。
  • 賃貸期間が不明確な場合:10~15年を目安に算出。

【例】

  • 賃貸契約が10年の場合、耐用年数は10年。
  • 賃貸契約期間を設けていない場合、内装工事の内容に応じて合理的な年数を見積もる。

賃貸物件での内装工事費の減価償却では、契約内容をしっかり確認することが重要です。

飲食店で使用される資産にはさまざまな種類があり、それぞれ適用される耐用年数や計算方法が異なります。
正しい知識を身につけることで、効率的な経費管理が可能になります。

次章では、減価償却を味方につけるための経費管理のコツをご紹介します!

飲食店内装工事 - 作業風景

減価償却を味方に!効果的な経費管理のコツ

減価償却は単なる経理処理の一部ではありません。
正しく活用すれば、税負担の軽減資金繰りの改善といった経営上の大きなメリットをもたらします。

この章では、飲食店の経費管理に役立つ「少額資産の特例活用」と「店舗設計時の考慮点」について具体的に解説します。

少額資産の特例活用

飲食店では、小型の厨房機器や家具など、比較的安価な資産を頻繁に購入します。
こうした資産には「少額資産の特例」を活用することで、減価償却を簡略化し、経費を即座に計上することが可能です。

取得価額の要件

少額資産の特例とは、取得価額が30万円未満の資産を購入年度に全額経費計上できる制度です。
以下の条件を満たす場合に適用されます。

  • 青色申告をしていること
  • 中小企業または個人事業主であること
  • 資産の取得価額が1品目30万円未満であること

【例】
12万円の小型フライヤーを購入した場合、通常なら6年の耐用年数で減価償却しますが、この特例を使えば、購入年度に12万円を全額経費計上できます。

損金算入のメリット

この特例の最大のメリットは、購入年度の利益圧縮が可能になることです。
たとえば、利益が大きく出た年度にこの特例を活用すれば、税負担を軽減し、資金を手元に残すことができます。

一方で、利益が少ない年度に特例を使うと節税効果が薄れるため、年度ごとの利益状況を踏まえた判断が重要です。
「特例を使うべきか通常の減価償却にするべきか」は、経理担当者や税理士と相談して決めるのがおすすめです。

店舗設計時の考慮点

店舗の設計や内装工事は、減価償却の計画において非常に重要なポイントです。
耐久性や修繕費とのバランスを考慮することで、長期的な経費管理がより効率的になります。

耐久性の見極め

内装や設備を選ぶ際には、耐久性と耐用年数のバランスを重視することが大切です。

たとえば、木製のテーブルと金属製のテーブルを比較した場合、金属製の方が耐久性は高いものの、耐用年数が長くなるため減価償却期間も延びる可能性があります。
一方で、木製のテーブルは耐用年数が短く、減価償却期間が短縮されるため、早期に経費化できるメリットがあります。

これらを踏まえ、店舗の使用頻度や修繕の可能性を考慮した設備選びを行いましょう。

修繕費との兼ね合い

内装や設備は、長期間使用する中で修繕が必要になる場合があります。
この修繕費については、原則として発生した年度の経費として計上できます。

例えば、耐用年数が10年のカウンターを修繕する場合、その費用は減価償却ではなく、即座に経費として計上可能です。
ただし、修繕内容が大規模な改修や価値の増加につながる場合は、資本的支出として扱われ、減価償却の対象になる点に注意しましょう。

修繕費と減価償却の区別を明確にすることで、無駄なく経費を管理できるようになります。

減価償却は、正しい知識と工夫次第で飲食店経営の強力な味方となります。
次章では、減価償却をさらに経営に活かすための実践的な活用方法についてお伝えします!

飲食店の経費管理 - 手書きで経理作業を行う場面

経営に効く!減価償却の実践的な活用方法

減価償却は単なる経理上の手続きではなく、経営戦略の中核を支える重要なツールです。
適切に活用すれば、設備投資の計画や資金繰りの最適化、さらには税務上のメリットを得ることができます。

ここでは、減価償却を実践的に経営に活かす方法を解説します。

経営管理への活用

減価償却は、単に資産価値を減らす処理ではなく、経営全体を見据えた計画づくりにも活用できます。

設備投資計画の策定

設備投資を行う際、減価償却の仕組みを取り入れることで、長期的な費用配分を視野に入れた計画が可能になります。

例えば、新しい厨房設備を導入する際、減価償却を考慮することで、初年度の過大な経費負担を回避できます。
さらに、複数年にわたって経費を計上することで、利益を安定化させ、経営の予測精度が向上します。

【ポイント】
設備投資を計画する際には、以下の項目を確認しましょう。

  • 資産の耐用年数
  • 減価償却方法(定額法・定率法)
  • 利益や税負担への影響

これらを考慮することで、無理のない投資計画を立てることができます。

資金繰りの把握

減価償却は実際に支出を伴わない「非現金支出」の一つです。
そのため、減価償却費を正確に把握することで、実際のキャッシュフローを適切に管理できます。

たとえば、年間の減価償却費を見積もることで、資金繰りに余裕を持たせる計画が立てられます。
また、資産の更新時期を見据えた資金準備も可能になります。

税務上のメリット

減価償却の活用は、節税対策においても強力な武器です。
特に、所得税や消費税の計算における影響を正確に理解することで、経営効率を大幅に向上させることができます。

所得税の節減効果

減価償却費を計上することで、課税所得を圧縮することが可能です。
例えば、利益が1,000万円の年度に200万円の減価償却費を計上すれば、課税対象となる所得は800万円になります。

このように、減価償却を利用して所得税の負担を軽減することができます。
特に、利益が多く発生した年度には減価償却を最大限活用し、納税額を調整することが重要です。

消費税の扱い

減価償却の対象となる資産を購入する際に支払った消費税も、適切に処理することで負担軽減が可能です。
たとえば、税込価格で購入した設備に含まれる消費税分は、課税売上に基づく控除として申告できます。

また、減価償却の対象となる設備を更新する際も、消費税の還付を受けられる可能性があるため、税理士と相談しながら最適な方法を選びましょう。

まとめ

飲食店経営における減価償却は、単なる会計処理にとどまらず、経営戦略や税務対策の基盤となる重要な要素です。
内装工事や厨房機器といった資産の減価償却を正しく行うことで、経費を平準化し、税負担を適切にコントロールすることができます。

特に、減価償却を効果的に活用するためには、以下のポイントが重要です。

  1. 耐用年数や取得価額を正確に把握すること
  2. 特例制度を適切に活用すること
  3. 長期的な資金計画に組み込むこと

減価償却に関する知識を深め、実践に活かすことで、経営の安定化持続的な成長を実現できるでしょう。

飲食店経営において、減価償却は最強の味方となります。
ぜひこの知識を活用して、賢い経営を目指してください!

この記事を書いた人

青島 雅人

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

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