COLUMN
コラム
店舗デザイン
2024.12.18
【店舗設計の注意点】新規開店時に押さえておくべきポイントとは
店舗設計は、ビジネスの成功に直結する重要なステップです。魅力的な空間を提供することで、顧客に選ばれるお店を実現できるだけでなく、業務効率の向上にもつながります。
一方で、店舗設計には多くの選択肢や検討事項があり、事前に適切な準備を行うことが欠かせません。計画が曖昧なまま進めてしまうと、予期せぬトラブルや余計なコストが発生する可能性があります。
本記事では、新規開店を検討されている方に向けて、店舗設計を進める際に注意すべきポイントをわかりやすく解説します。理想の店舗作りに向けた参考にしていただければ幸いです。
店舗設計を行う際に最も重要なポイント

店舗設計を成功させるためには、いくつかの重要なポイントをしっかりと押さえる必要があります。特に、事前準備の段階でどれだけ細かく計画を立てられるかが、成功への鍵となります。ここでは、店舗設計を始める前に考えるべき基本的な事項や最初のステップ、そして予算とスケジュールの設定について詳しく解説します。
店舗設計前に必ず決めるべき基本的なこと
店舗設計を進める前に、基本的な条件をしっかりと固めることが大切です。この段階を軽視してしまうと、後々のトラブルや計画変更につながり、余計なコストが発生してしまいます。
まず最初に考えるべきなのは、以下のような基本事項です。
- 店舗のコンセプト:お店の目的や特徴を一言で表現できるようにしましょう。
- ターゲット層:年齢、性別、趣味嗜好など、明確な顧客像をイメージします。
- 立地条件:顧客がアクセスしやすい場所かどうかを確認します。
- 必要な設備とスペース:客席や厨房、ストレージなど、必要な機能をリストアップしましょう。
これらを事前に決めておくことで、設計の方向性が明確になり、効率的に計画を進められるようになります。
店舗設計を考える上での最初のステップ
店舗設計を考える際には、具体的な作業に入る前に、設計の軸となる部分を固めることが重要です。これには、コンセプトの明確化やデザインの方向性を決める作業が含まれます。
コンセプトを明確にし、ターゲット層に合わせたデザインを決定
コンセプトは、店舗設計の全ての基盤となる部分です。これが曖昧なままだと、デザインや設備配置に一貫性がなくなり、顧客に魅力的な印象を与えることが難しくなります。
具体的なコンセプトの作り方としては、次のようなポイントを押さえると良いでしょう。
- 店舗の目的を明確にする
例:リラックスできるカフェ、親しみやすい居酒屋など。 - ターゲット層を定める
年齢層や趣味嗜好に合わせたデザインや内装を考えます。 - デザインの方向性を設定する
シンプルでモダンなスタイル、または温かみのあるクラシックなスタイルなど。
例えば、若い世代をターゲットにしたカフェであれば、明るい色調とカジュアルなインテリアが適しています。一方、落ち着いた雰囲気を求める高級レストランでは、ダークトーンの内装や高級感のある家具が効果的です。
理想的な店舗設計のための予算設定とスケジュールの重要性
店舗設計を進める際、予算とスケジュールの管理は最優先事項です。これらがしっかりと計画されていないと、予算オーバーやオープン日の遅延など、ビジネスに大きな支障をきたす可能性があります。
予算設定のポイント:
- 全体予算を明確にする
設計費用、施工費用、設備費用など、必要な項目を細分化します。 - 余裕を持った予備費を設定
予算の10~20%程度を追加費用に備えて確保しましょう。
スケジュール管理のポイント:
- 設計段階で余裕を持たせる
設計図の修正や行政手続きに時間がかかる場合を考慮します。 - 工事開始からオープンまでの期間を逆算する
内装工事や設備の搬入・設置にかかる時間を具体的に見積もることが必要です。
計画的に進めることで、予算内で理想的な店舗設計を実現し、スムーズなオープンを迎えることができます。
このように、店舗設計の最初の段階では、基本事項の決定、コンセプトの明確化、そして予算とスケジュールの管理が成功への鍵となります。適切な計画と準備で、理想の店舗作りを進めていきましょう!
店舗設計で絶対に押さえておきたい注意点

店舗設計を進める際、注意すべきポイントを押さえることで、効率的かつスムーズに理想の店舗を形にできます。以下に、特に重要な4つの注意点を詳しく解説します。
予算設定と費用管理を徹底する
予算管理は、店舗設計において最も重要な課題のひとつです。予算を超えてしまうと、その後の運営資金に影響を及ぼし、経営を圧迫する原因になります。
まず、以下のように予算を細分化し、各項目の配分を明確にしましょう。
- 設計費用:設計事務所への支払い。
- 施工費用:工事全体の費用。
- 設備費用:厨房機器や什器備品の購入費用。
- 予備費:予想外の費用に備えるための10~20%。
また、業者から提出される見積もりを確認し、細かい項目ごとに明確化することも大切です。「配管一式」や「設備費」といった大枠ではなく、各作業や設備の費用が明示されているかを確認しましょう。
業者との打ち合わせを徹底し、設計の希望を漏れなく伝える
設計の仕上がりに満足するためには、業者とのコミュニケーションが鍵です。自分の理想や希望を細かく伝えることで、完成後の「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐことができます。
ポイントは次の通りです。
- 希望するデザインや雰囲気を具体的に伝える:参考写真や雑誌の切り抜きなどを活用すると効果的です。
- 優先順位を明確にする:譲れないポイントと妥協できるポイントを整理して伝えます。
- 変更点はその都度伝える:設計図や見積もりの段階で気になる点は、遠慮せずに伝えましょう。
打ち合わせの記録を残すことも重要です。メールや議事録を活用して、後でトラブルが生じた場合にも備えられるようにしましょう。
動線や業務効率を考慮した設計を心掛ける
動線は、顧客やスタッフの快適性に大きな影響を与えます。動線設計を適切に行うことで、顧客満足度を高めるだけでなく、業務効率の向上も期待できます。
客席、厨房、スタッフ動線を確認して設計を調整する
動線設計を考える際には、以下の3つのポイントを重点的にチェックしましょう。
- 客席の動線:入口から客席、客席からトイレやレジまでの移動がスムーズかどうか。
- 厨房の動線:調理スペースや水回りの配置が効率的で、スタッフが作業しやすい環境かどうか。
- スタッフ動線:スタッフ同士がぶつかることなく動けるレイアウトになっているか。
例えば、飲食店の場合、厨房から客席への料理提供がスムーズであることが求められます。さらに、顧客がストレスを感じないように、分かりやすい導線を意識した設計が理想的です。
内装デザインで失敗しないための重要なチェックポイント
内装デザインは、店舗の印象を決定づける重要な要素です。魅力的な内装は顧客に好印象を与える一方で、失敗すると顧客満足度やリピート率の低下につながります。
設計図をしっかり確認し、イメージとズレがないかを確認
完成後のギャップを防ぐために、設計図の詳細を確認する作業が欠かせません。以下のポイントをチェックしましょう。
- カラーや素材の確認:設計図に記載された色や素材が、コンセプトやイメージに合っているか。
- 家具や設備の配置:図面通りに配置された際、動線やスペースが十分に確保されているか。
- 立体的なイメージの確認:3D図面やサンプルを活用し、完成後の見え方を具体的に把握する。
また、内装デザインにおいて特に重要なのは、顧客の視点を取り入れることです。初めて訪れた顧客が入りやすいと感じるか、また過ごしやすいと感じる空間になっているかを常に意識しましょう。
このように、店舗設計における注意点を一つ一つ押さえることで、顧客とスタッフ双方にとって快適な店舗作りが実現します。細部までこだわった計画で、理想の店舗を形にしましょう!
店舗設計の流れと進め方

店舗設計をスムーズに進めるためには、設計の流れを理解し、事前にしっかりと準備を整えることが重要です。ここでは、設計の基本的な流れや業者選びのポイント、見積もり依頼時に必要な準備について詳しく解説します。
店舗設計の基本的な流れとスケジュール
店舗設計は、計画的なスケジュール管理が成功への鍵です。各段階で何をすべきかを明確にし、効率的に進めましょう。
デザインコンセプト決定から工事着手までの重要なステップ
- デザインコンセプトの決定
店舗設計の最初のステップは、コンセプトを明確にすることです。どのような空間を目指すのか、ターゲット層や店舗の雰囲気を具体化します。 - 予算とスケジュールの設定
設計費用や施工費用などを含めた全体予算を決めると同時に、スケジュールを立てます。余裕を持った計画が重要です。 - 設計事務所や業者の選定
実績や信頼性を基に、最適な業者を選びます。詳細は後述します。 - 設計図の作成
業者との打ち合わせを重ね、デザイン案を具体化します。この段階で細かい変更点を伝え、完成イメージをすり合わせます。 - 行政手続きと承認
保健所や消防署への申請が必要な場合があります。事前に必要書類を揃え、スムーズに対応しましょう。 - 工事着手
工事が始まったら、進行状況を定期的に確認します。設計図通りに進んでいるか、現場のチェックを怠らないようにしましょう。
店舗設計における業者選びとそのポイント
信頼できる業者を選ぶことは、店舗設計を成功させるための重要な要素です。業者選びを間違えると、費用の無駄や施工ミスの原因になりかねません。
信頼できる業者を選ぶための実績確認と契約内容のチェック
- 実績確認
過去の施工事例を確認することで、その業者の得意分野やデザインの傾向を把握できます。特に、自分の店舗のコンセプトに合った実績がある業者を選ぶと良いでしょう。- 具体的な事例写真や完成した店舗の見学が可能か確認する。
- 同業種の施工経験が豊富な業者を選ぶ。
- 契約内容のチェック
見積もりだけでなく、契約書の内容を細かく確認しましょう。以下の項目に注目してください。- 追加費用の発生条件:設計変更や追加工事にかかる費用が明確に記載されているか。
- アフターフォロー:施工後のトラブルに対応する体制が整っているか。
- 工期の明示:スケジュールに遅延が出た場合の対応方法が書かれているか。
これらを確認することで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。
見積もり依頼と設計図作成に必要な準備
見積もり依頼や設計図の作成は、店舗設計の中で非常に重要なステップです。事前に必要な準備を整えることで、業者とのコミュニケーションをスムーズに進められます。
準備すべきポイント:
- 要望リストの作成
必要な設備やデザインの希望をリスト化し、優先順位を付けます。これにより、業者に具体的な指示が可能になります。 - 店舗の基本情報を整理
店舗の広さ、立地、ターゲット層などの情報を明確にします。業者が設計案を作成しやすくなります。 - 参考資料の準備
イメージに近い店舗の写真や、デザインイメージをまとめた資料を用意しましょう。視覚的な参考資料は、意図を正確に伝える助けになります。 - スケジュールの共有
オープン予定日を含めたスケジュールを業者と共有し、逆算して計画を進められるようにします。
このように、店舗設計の流れを正しく理解し、準備を怠らないことが理想的な店舗作りの鍵となります。一つひとつの段階で適切な対応を行い、成功への道を着実に歩んでいきましょう。
理想的な店舗作りのために設計段階で気をつけるべきこと

店舗設計では、設計段階での細かな配慮が理想の空間を作り上げるための鍵となります。法規制の確認やデザインの工夫を通じて、顧客が訪れたくなる店舗を目指しましょう。
事前に確認すべき法規制や建築基準
店舗設計を進めるにあたり、法規制や建築基準の確認は絶対に見逃せないステップです。これを怠ると、工事途中で計画の変更を余儀なくされる場合があります。
確認すべき主なポイント:
- 用途地域の規制
店舗の設置場所が、商業施設として適した地域かどうかを確認します。 - 建築基準法
建物の高さ制限や耐震基準など、建築基準法に適合しているかをチェックします。 - 保健所や消防署の要件
飲食店や美容室の場合、保健所や消防署への届け出が必要です。特に厨房や防火設備についての要件を満たしているか確認しましょう。
これらの確認をスムーズに進めるためには、設計事務所や行政機関と連携することが重要です。専門家のサポートを受けることでリスクを回避し、安心して設計を進められる環境を整えましょう。
店舗の入りやすさと落ち着いた雰囲気作り
店舗の第一印象を決めるのは、入りやすい雰囲気と快適な空間作りです。特に、エントランスや内装のデザインが顧客の足を引き寄せる要因となります。
エントランスデザインと内装で空間に自然な調和を作る
エントランスのデザインは、顧客が店舗に対して抱く印象を左右します。以下のポイントを意識して設計を行いましょう。
- エントランスの視認性を高める
道行く人が自然に目に留められるよう、看板や照明を工夫します。特に、夜間でもわかりやすい明るさを確保しましょう。 - 店内の雰囲気が伝わる透明感
ガラス扉や大きな窓を活用して、店内の様子が見えるデザインにすることで、入りやすさを演出できます。 - 内装の統一感
エントランスから店内にかけて、統一感のあるデザインを心がけます。例えば、カラーや素材の調和を意識することで、リラックスできる空間を提供できます。
内装については、ターゲット層に応じたデザインを選びましょう。高級感を求める場合は暗めの色調や間接照明を使用し、カジュアルさを出したい場合は明るい色調とナチュラルな素材を組み合わせるのがおすすめです。
まとめ
店舗設計において重要なのは、細部にまで気を配ることです。以下に、設計の成功に必要な要素を整理します。
店舗設計を成功に導くために最も大切な要素とは?
店舗設計を成功させるために重要な要素を以下にまとめました:
- コンセプトの明確化
どのような店舗にしたいのか、ターゲット層や提供する体験を具体的に言語化しましょう。 - 予算とスケジュールの管理
設計費用や工事費用を事前に明確化し、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。 - 法規制や建築基準の確認
設計が法的要件を満たしているかを事前に確認し、施工段階でのトラブルを防ぎます。
これらの要素を抑えることで、理想の店舗作りに近づけます。
設計の流れや注意点を理解し、理想の店舗作りを実現するために
店舗設計は、単なるデザインの選択ではありません。計画的な準備と専門家との連携が成功を左右します。
- 設計の流れを把握:初期段階から工事完了までの流れを理解し、各段階で適切な対応を行いましょう。
- 注意点を徹底:予算管理や動線設計、業者選びにおける注意点を押さえ、失敗を防ぎます。
理想の店舗作りには、顧客目線と機能性の両方を重視することが欠かせません。本記事で紹介したポイントを活用し、ぜひ成功する店舗設計を実現してください。
この記事を書いた人

青島 雅人
大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。
大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。