COLUMN

コラム

飲食店

2024.10.10

飲食店内装工事費用を徹底解説|坪単価の目安とコストを抑える方法

飲食店を開業する際、内装工事の費用は非常に大きな負担となります。

どのようなコンセプトで、どんなお店にするかが決まっても、実際にその夢を形にするためには内装工事が必要です。

しかし、「内装工事にはどれくらいの費用がかかるのか」「どのようにして費用を抑えられるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、飲食店の内装工事に関する費用相場、費用を抑えるためのポイント、見積もりを取る際の注意点などを徹底的に解説します。

飲食店の内装工事費用を理解し、コストを抑えつつ理想のお店を実現するための第一歩として、ぜひお役立てください。

飲食店の内装工事費用の概要

飲食店の内装工事費用は、物件の種類工事内容立地コンセプトなど多くの要素によって大きく異なります。

内装工事を行う際には、坪単価を基にした費用の見積もりが一般的ですが、実際の費用は工事の規模や詳細によっても変動します。

本章では、内装工事の費用について、坪単価の目安や物件の種類別に詳しく解説していきます。

費用を把握することで、計画的な店舗開業が実現できるでしょう。

内装工事費用と坪単価の目安

内装工事費用の基本は、坪単価を目安に計算されます。

坪単価とは、1坪(約3.3㎡)あたりの工事費用のことです。

飲食店の内装工事の坪単価は、物件の状態や業態によって異なりますが、一般的に坪単価は20万円~100万円程度が相場です。

次に、新装の場合と改装・居抜きの場合の坪単価について詳しく見ていきましょう。

新装の場合の坪単価

新装の場合、物件はスケルトン状態、つまり何も内装が施されていない空っぽの状態からスタートします。

このため、電気設備や給排水設備、空調工事など、すべてのインフラ設備を一から設置する必要があり、坪単価は高くなる傾向があります。

新装の場合の坪単価は、30万円~50万円が目安とされており、特に高級レストランや個性的なカフェなど、独自のコンセプトを追求する店舗ではさらに高くなることがあります。

また、設備工事にかかる費用が全体の半分以上を占めることも多く、特に厨房設備に多額のコストが必要です。

例えば、フレンチレストランなど本格的な料理を提供する飲食店では、調理設備の選定によっては坪単価が60万円以上に達することもあります。

改装・居抜きの場合の坪単価

改装や居抜き物件を利用する場合は、内装費用を大幅に抑えることが可能です。

居抜き物件とは、前の店舗の設備や内装が残されたままの物件のことで、既存の設備を再利用することで工事費用を削減できます。

改装・居抜き物件の坪単価は、一般的に15万円~30万円が目安です。

しかし、既存の内装をどの程度活用できるかによって費用は大きく変動します。

例えば、厨房機器や空調設備などが使える状態であれば、その分工事費用を削減できるため、費用全体が抑えられます。

ただし、居抜き物件では前の内装や設備が古くなっている場合もあり、その場合は修繕や交換が必要になることもあるため、注意が必要です。

物件の種類と内装費用の関係

内装工事費用は物件の種類によっても大きく異なります。

物件の種類は、主に居抜き物件新築・スケルトン物件改築物件の3つに分けられます。

それぞれの物件には異なる特徴があり、選ぶ際には費用面だけでなく、店舗のコンセプトや運営の自由度も考慮することが大切です。

居抜き物件の特徴と費用の抑え方

居抜き物件は、前の店舗の設備や内装がそのまま残されているため、初期費用を抑えられるという大きなメリットがあります。

特に、電気設備や給排水設備空調設備などが既に整っている場合、これらを再利用することで費用を抑えることができます。

費用を抑えるためのポイントとしては、現場調査を徹底して行い、設備の状態を把握することが挙げられます。

また、居抜き物件の内装やレイアウトが自店のコンセプトに合わない場合、部分的な改装が必要になりますが、この場合でも完全に新装するよりは費用を抑えられる可能性が高いです。

新築・スケルトン物件のメリットと費用

新築やスケルトン物件は、内装や設備が何もない状態からスタートするため、自由度が非常に高いというメリットがあります。

自分の理想とする店舗を一から作り上げることができるため、デザインやレイアウトにこだわりたい方には最適です。

ただし、その分費用は高くなりがちで、特に設備工事には多額の費用がかかります。

新築物件の内装費用は、坪単価で30万円~50万円が一般的ですが、高級感を出すために高価な素材を使用したり、オリジナルの造作物を導入したりすることでさらに費用が上がることがあります。

改築物件の費用と選び方

改築物件は、前の店舗の一部を残しながら、新たに内装を加えていく方法です。

居抜き物件よりも自由度が高く、新築物件よりも費用が抑えられるため、費用と自由度のバランスを取りたい方に向いています。

改築物件の費用は、坪単価で20万円~40万円が目安となりますが、元の設備をどの程度使えるかによって大きく変わります。

選ぶ際には、現地をしっかり確認し、どの部分を残し、どの部分を新たにするのかを明確にすることが大切です。

工事内容による費用の変動要因

飲食店の内装工事費用は、工事内容によっても大きく異なります

工事内容は主に設備工事内装工事に分かれ、それぞれの内容や範囲に応じて費用が変動します。

設備工事の費用概要

設備工事とは、厨房機器の設置冷暖房設備給排水設備など、店舗の営業に必要な基礎的な部分の工事を指します。

飲食店では、厨房設備が非常に重要であり、特に本格的な調理を行う場合には大規模な設備投資が必要となります。

設備工事の費用は、内装工事全体の**50%~70%**を占めることが一般的で、業態やメニュー内容によってはさらに高くなることもあります。

例えば、フレンチレストランやベーカリーなど、特殊な調理器具を必要とする場合は、費用がかさむ可能性があります。

内装工事の費用概要

内装工事は、壁や床、天井などの仕上げや照明家具などのインテリアを施す工事です。

デザイン性や素材の選択によって費用が大きく変動し、高級感を演出するために天然木や石材を使用する場合は、費用が増加します。

また、内装工事では店舗のコンセプトに合った空間作りが求められるため、デザインにこだわるとその分コストがかかることがあります。

内装工事の費用は、坪単価で10万円~30万円程度が一般的ですが、デザイン性にこだわることで40万円以上になることもあります。

工事内容を決める際には、店舗のコンセプトと予算をしっかり考慮し、内装業者と綿密に打ち合わせを行うことが重要です。

内装工事費用を抑えるためのポイント

飲食店の内装工事は、費用がかさむことが多く、予算内に収めるための工夫が必要です。

適切な準備と工夫を行うことで、コストを効果的に抑えながら、理想的な内装を実現することが可能です。

ここでは、内装工事費用を抑えるために行うべき準備や具体的な節約方法について解説します。

内装工事前に行うべき準備

内装工事費用を抑えるためには、工事前の準備が非常に重要です。

事前にしっかりと準備を行うことで、無駄な出費を防ぎ、計画通りに進めることが可能となります。

以下に、内装工事を始める前に行うべき準備について詳しく説明します。

現場調査を徹底する

内装工事を始める前に、現場調査を徹底することは非常に重要です。

現場の状況をしっかりと把握することで、不要な工事を避けたり、予想外のトラブルを未然に防いだりすることが可能です。

例えば、電気設備や給排水設備が十分に整っているかを確認することで、後から追加工事が必要になることを防げます。

また、現場の寸法を正確に測定し、図面と現地に誤差がないか確認することで、無駄な材料費や工事費を減らすことができます。

このように、現場調査を徹底することで、予算に余裕を持たせながら効率的な工事を進めることができます。

綿密な打ち合わせの重要性

内装工事を成功させるためには、内装業者との綿密な打ち合わせが欠かせません。

打ち合わせの際には、使用する素材の種類工法工期などについて具体的に確認し、双方の認識に齟齬がないようにすることが重要です。

例えば、内装に使用する素材については、高級な素材を使用することでコストが増える可能性があるため、予算内で最適な素材を選ぶためのアドバイスを受けることが重要です。

また、打ち合わせの段階で変更点や追加事項が発生した場合、それが工期や費用にどう影響するかをしっかりと確認することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

このように、内装業者との綿密な打ち合わせを行うことで、計画に基づいた工事を進め、予算内に収めることができます。

工事費用を削減する具体的な方法

内装工事の費用を抑えるためには、具体的な節約方法を活用することが効果的です。

ここでは、工事費用を削減するために実践できる方法について解説します。

複数の業者から見積もりを取る

工事費用を抑えるための最も基本的な方法は、複数の業者から見積もりを取ることです。

異なる業者に見積もりを依頼することで、各社の費用や工事内容を比較することができ、最もコストパフォーマンスの良い業者を選ぶことが可能です。

見積もりを比較する際には、単純に価格だけでなく、工事の質や提供されるサービスも考慮することが大切です。

例えば、材料費が安い業者が必ずしも質の良い工事を行うとは限りません。

信頼性の高い業者を選ぶために、過去の施工実績や顧客のレビューなども参考にすると良いでしょう。

複数の業者からの見積もりを比較することで、コストを削減しながらも質の高い工事を実現することができます。

中古やリース機器の活用

飲食店の内装工事において、厨房機器などの設備費用は大きな割合を占めます。

そのため、これらの設備を中古品やリースで賄うことによって、初期費用を大幅に抑えることが可能です。

例えば、新品の厨房機器は非常に高価であり、全てを揃えると数百万円に達することもありますが、中古品を活用すれば費用を半分以下に抑えることも可能です。

また、リースを利用することで初期投資を抑えられるだけでなく、メンテナンスが含まれている場合もあるため、長期的なコスト削減にもつながります。

設備に関しては、新品にこだわらず、状態の良い中古品やリースを活用することで、内装工事費用を大幅に削減できるでしょう。

DIYで可能な部分を行う

内装工事の一部をDIYで行うことも、費用を削減する有効な方法です。

もちろん、専門的なスキルが必要な部分は業者に任せるべきですが、ペンキ塗り棚の設置簡単な装飾など、自分でできる部分についてはDIYを検討しましょう。

DIYによって節約できるのは費用だけではありません。

自分の手で店舗を作り上げる楽しさも味わうことができ、より一層お店に対する愛着が深まるでしょう。

例えば、壁の一部を自分で塗装することで、個性を演出しながらもコストを抑えることが可能です。

また、カウンターや家具を既製品ではなく手作りすることで、素材費用を大幅に削減することもできます。

DIYを取り入れる際には、無理のない範囲で行い、安全面に配慮することが重要です。

適切にDIYを活用することで、費用を削減しながらも、理想的な内装を実現することができます。

内装工事見積もり前の準備事項

飲食店の内装工事を始める前には、しっかりとした準備を行うことが重要です。

事前に必要な情報を整理し、見積もりに備えることで、予算を効率的に活用し、理想の店舗を作り上げることができます。

この章では、内装工事の見積もり前に行うべき準備事項を詳しく解説していきます。

コンセプトとターゲットを明確にする

飲食店の内装工事を成功させるためには、コンセプトとターゲットを明確にすることが非常に重要です。

コンセプトとは、お店の特徴や雰囲気、提供する料理やサービスの方向性を指します。

例えば、カジュアルなカフェであれば、温かみのある木材を使ったナチュラルなデザインが適していますが、高級レストランの場合は、ラグジュアリーな素材や間接照明を使用して、高級感を演出する必要があります。

ターゲットも重要な要素です。

どのような客層をターゲットにするかによって、内装のデザインやレイアウトが大きく変わります。

例えば、家族連れをターゲットにする場合、広い座席やベビーチェアの設置など、家族で利用しやすい工夫が求められます。

一方、若いカップル向けのおしゃれなカフェであれば、インスタ映えする装飾やフォトスポットを取り入れることが有効です。

このように、コンセプトとターゲットを明確にすることで、内装工事の方向性をはっきりとさせ、お客様にとって魅力的なお店を作り上げることができます。

事業計画と資金調達を固める

内装工事を行う前に、事業計画と資金調達をしっかりと固めることが大切です。

内装工事は、飲食店開業の中でも特に大きな投資となるため、計画的に資金を確保しておく必要があります。

まず、事業計画を立てることで、どのくらいの費用を内装工事に充てることができるかを明確にします。

事業計画書には、開業後の収支予測や経営方針、資金の使い道などを詳細に記載し、銀行や投資家に対しても信頼性のある計画を示すことが求められます。

また、資金調達の方法も重要です。

自己資金だけでなく、融資や助成金の利用も検討することで、資金を確保しやすくなります。

例えば、飲食店開業においては、日本政策金融公庫からの融資や地方自治体の開業支援助成金など、利用できる制度が多くあります。

これらの資金調達手段をうまく活用することで、内装工事にかかる初期投資を軽減し、スムーズに工事を進めることが可能です。

理想のデザインを具体化する

内装工事の見積もりを依頼する前には、理想のデザインを具体化することが重要です。

デザインのイメージを具体的に持つことで、内装業者との打ち合わせがスムーズに進み、正確な見積もりを得ることができます。

まずは、どのような雰囲気の店にしたいのかを明確にしましょう。

例えば、落ち着いた雰囲気の和風レストランにしたいのか、それともポップでカジュアルなカフェにしたいのかといった具体的なイメージを持つことが大切です。

そのために、PinterestやInstagramなどのSNSで参考となる店舗の画像を集めたり、実際に気になるお店を訪れて内装のアイデアを得たりすることが有効です。

また、素材や色合いについても具体的に考えておくことで、工事の際のトラブルを防ぐことができます。

例えば、壁の仕上げには白いタイルを使用するのか、木材を使用するのかといった細かな部分まで考えることで、内装業者に対して明確な指示ができ、無駄な追加工事や費用の発生を防ぐことができます。

さらに、家具や照明の配置についても事前に考えておくと、工事後のレイアウト変更が少なくなり、効率的に工事を進めることが可能です。

理想のデザインを具体化することは、内装工事の成功に直結するため、時間をかけてしっかりと準備しましょう。

まとめ

飲食店の内装工事は、理想の店舗を形にするために非常に重要なステップです。しかし、費用がかかるため、無計画に進めると予算をオーバーしてしまうリスクがあります。そこで、内装工事を始める前に、しっかりとした準備を行うことが成功のカギとなります。

まずは、コンセプトとターゲットを明確にし、どのような店舗にしたいのかをはっきりとさせましょう。次に、事業計画と資金調達を固め、予算を確保することで、安心して工事を進めることができます。さらに、理想のデザインを具体化し、内装業者に対して明確な指示を出すことで、スムーズな工事進行と予算内での実現が可能となります。

これらの準備を行うことで、理想の飲食店を実現し、成功する店舗運営への第一歩を踏み出すことができるでしょう。

この記事を書いた人

青島 雅人

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

BACK