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飲食店内装

2024.05.11

飲食店の内装工事費用と業者選定のポイント

内装工事のイメージ

飲食店を開業する際、内装工事にかかる費用は重要な要素となります。内装工事は、店舗の雰囲気を決定づけ、集客に大きな影響を与えるため、その費用を適切に予算に組み込むことが成功の鍵となります。しかし、内装工事の費用は、物件の状態や工事内容、業者選定によって大きく変動します。そこで本記事では、飲食店の内装工事費用の目安と、業者選定のポイントを詳しく解説し、開業準備を進める上で必要な知識を提供します。内装工事に関する計画を立てる際には、この記事を参考にして、理想の店舗作りに役立ててください。

飲食店の内装工事費用

飲食店を開業する際、最も重要な要素の一つが内装工事費用です。店舗のデザインや機能性、さらにお客様に与える印象を決定づけるため、内装工事はその後の営業にも大きな影響を与えます。しかし、内装工事にかかる費用は、物件の状態や工事内容、選択する業者によって大きく異なるため、開業準備を進める上でその費用感を把握しておくことが不可欠です。ここでは、居抜き物件、スケルトン物件、そして設備工事と内装工事の違いについて、詳細に説明していきます。

居抜き物件の場合

居抜き物件とは、前のテナントが使っていた内装や設備をそのまま引き継げる物件のことです。これにより、内装工事費用を大幅に削減することができるため、初期投資を抑えたい開業者にとっては非常に魅力的です。居抜き物件の費用の目安としては、坪単価15万円~30万円程度が相場です。特に、前のテナントと同業種や似た業態の店舗であれば、厨房機器や設備をそのまま活用できるため、さらなるコスト削減が可能です。

しかし、居抜き物件にも注意点があります。それは、設備や内装の老朽化です。前のテナントの使用状況によっては、リフォームや修繕が必要となることがあります。また、店舗のコンセプトに合わせてレイアウト変更や新しい設備を導入する場合は、追加費用がかかる点も考慮しなければなりません。つまり、居抜き物件はコストを抑えることができる反面、柔軟な変更を加える場合には追加費用が発生することを理解しておく必要があります。

スケルトン物件の場合

スケルトン物件とは、内装が完全に取り払われ、空っぽの状態の物件を指します。このような物件は、自分の理想的な店舗デザインを一から作り上げることができるという大きなメリットがあります。しかし、その分内装工事の費用は高くなります。スケルトン物件の場合、内装工事の費用は坪単価30万円~50万円が相場です。

スケルトン物件の最大の特徴は、すべての設備や内装を新しく設計できる点です。そのため、店舗のデザインや雰囲気を完全に自分好みにすることができ、個性豊かな店舗作りが可能になります。しかし、全てを一から設計する必要があるため、必要な工事や設備の種類が増え、工事費用も増加することを考慮しなければなりません。また、工期も長くなるため、開業までのスケジュールにも影響を与える可能性があります。

設備工事と内装工事の違い

飲食店の内装工事には、設備工事内装工事の2種類の工事が含まれます。これらは異なる工事内容であり、それぞれの費用感や工事の進行方法も異なります。

まず、設備工事とは、厨房機器の設置や空調、換気設備、給排水設備など、店舗の運営に欠かせない設備を整える工事です。これには、大きな費用がかかることが多く、特に厨房機器や排気ダクト、電気・ガス配線などの工事が含まれます。設備工事の費用は、飲食店の業態や規模によって大きく異なり、総額の50~70%を占めることが一般的です。

一方、内装工事は、店舗のデザインや雰囲気を作り上げるための工事です。壁や床の仕上げ、照明、家具、カウンターなど、店舗の外観や内装を整える工事が含まれます。内装工事の費用は、設備工事の半分程度が目安となりますが、デザインのこだわりや使用する素材によって費用が変動します。特に、高級な素材やオーダーメイドの家具を使う場合は費用が高くなるため、予算に応じて選定することが重要です。

これらの工事を分けて考えることで、費用の見積もりや予算の調整がしやすくなります。設備工事と内装工事の役割を理解し、それぞれの費用を計画的に管理することが、成功する飲食店開業に向けての第一歩となります。

内装工事業者の選び方

プロの内装業者のイメージ

飲食店の内装工事は、開業に向けた最も重要なステップの一つです。成功する店舗作りには、信頼できる内装工事業者を選ぶことが不可欠です。しかし、内装工事業者にはさまざまな選択肢があり、それぞれが異なる特長や強みを持っています。ここでは、設計者(デザイナー)に依頼する場合、店舗専門の施工業者に依頼する場合、そしてトータルでお願いできる業者に依頼する場合の違いと、業者選定のポイントについて詳しく解説します。

設計者(デザイナー)に依頼する場合

まず、内装工事を進める際に、設計者(デザイナー)に依頼する方法について見ていきましょう。設計者に依頼する最大の利点は、店舗のデザインに専門的な視点と独自のアイデアを取り入れられる点です。デザイナーは、店舗のコンセプトやターゲットに合わせて、内装のレイアウト、色彩、素材選びなどを詳細に計画してくれます。自分の理想を明確に伝えることができれば、ユニークで魅力的な店舗デザインが実現します。

ただし、設計者はデザイン業務を担当するだけで、実際の施工は行いません。そのため、設計が完成した後は、デザインを元に施工業者に依頼する必要があります。設計者と施工業者が別々であるため、設計段階でのやり取りをしっかりと行うことが重要です。また、設計者によっては、施工業者を紹介してくれる場合もありますが、必ずしも自分が希望する業者と契約できるわけではない点も留意しておきましょう。

店舗専門の施工業者に依頼する場合

次に、店舗専門の施工業者に依頼する方法についてです。こちらは、内装工事を担当する業者が、飲食店の内装に特化した豊富な実績を持っている場合です。店舗専門の施工業者は、飲食店ならではの設計や施工の知識を持っており、例えば、厨房の設計や設備、換気システムの設置など、店舗運営に必要な専門的な技術に強いです。

この方法の大きなメリットは、業態に合わせた最適な設計・施工が期待できる点です。飲食店の施工には、専門的な設備や配管工事が必要になるため、業界に精通した施工業者を選ぶことが非常に重要です。また、店舗専門の業者は、多くの飲食店を手がけているため、トラブルが少なく、スムーズな工事が進められます。さらに、デザインや施工の質に加えて、納期や予算の管理もしっかりと行ってくれるため、安心して依頼できます

トータルでお願いできる業者に依頼する場合

最後に、トータルでお願いできる業者に依頼する方法を紹介します。これは、設計から施工、さらには設備の選定まで、すべてを一括でお願いできる業者です。トータルサポートを提供する業者に依頼するメリットは、一貫したサービスを提供してくれる点です。設計から施工までを同じ業者が手掛けることで、デザインや施工の整合性が取れ、スムーズに進行することが期待できます

また、トータルで依頼できる業者は、自社内で一括して管理を行うため、依頼者にとっては調整が容易で、予算や工期の管理もより効率的に行えるという点が大きな強みです。さらに、設備選定やアフターケアなども対応してくれる場合が多く、初めて飲食店を開業するオーナーにとっては非常に頼りになる存在です。開業準備に不安がある場合や、時間を節約したい場合に特にオススメの選択肢です。

以上の3つの選び方にはそれぞれの特徴があり、店舗の規模やコンセプトに応じて最適な業者を選ぶことが重要です。理想の店舗作りを実現するために、業者選定は慎重に行いましょう

内装工事業者選定の注意点

安心できる内装工事業者のイメージ

飲食店の内装工事は、開業準備の中で非常に重要なプロセスの一つです。適切な業者を選定することで、予算内で質の高い仕上がりを実現し、スムーズな店舗オープンを迎えることができます。しかし、業者選定にはいくつかの注意点があります。ここでは、内装工事業者を選ぶ際の注意点と、選定のポイントについて詳しくご紹介します。

複数の業者に見積もりを依頼する

内装工事業者選定の最初のステップとして重要なのが、複数の業者に見積もりを依頼することです。なぜなら、内装工事は高額な費用がかかるため、最適な価格で施工してくれる業者を見つけることが求められます。見積もりを比較することで、費用やサービス内容の違いを明確に把握することができ、納得のいく選択が可能になります。

ただし、見積もりの金額だけにこだわるのではなく、内容を細かく確認することが大切です。安価な見積もりを提示されたとしても、安すぎる場合は材料や工事の質に不安を感じることもあります。反対に、非常に高額な見積もりが提示された場合でも、どの部分にコストがかかるのかを詳細に理解し、自分の予算に合わせて調整することが重要です。複数の業者に見積もりを依頼することで、より客観的に比較することができ、最適な業者選びができます

丁寧に話し合いができる業者を選ぶ

次に、業者を選定する際に丁寧に話し合いができる業者を選ぶことがポイントです。内装工事は長期間にわたるプロジェクトであり、途中で調整や変更が発生することもあります。こうした場合に、業者とのコミュニケーションがスムーズであることは非常に重要です。

業者との打ち合わせでは、自分の要望をしっかりと伝え、反対に業者からのアドバイスや提案を受け入れる姿勢が求められます。業者がこちらの意図を理解し、適切な提案をしてくれるかどうかを見極めることが、成功する店舗作りに繋がります。また、納期や工期、費用の変更点などについて、早い段階で明確に確認することが大切です。信頼できる業者は、細かい質問にも親切に答えてくれ、途中で問題が発生しても柔軟に対応してくれます。

契約時の確認事項

業者を選んだ後、実際に契約を交わす際には、契約時の確認事項をしっかりと把握しておくことが必要です。契約書には、工事の内容や期間、費用、支払い方法などが詳細に記載されていますが、確認すべきポイントがいくつかあります

まず、見積もりの内容が契約書と一致しているかを確認します。工事内容や仕様、使用する材料が見積もり通りであるかを確認し、変更点があればその理由や追加費用を明確にしておくことが大切です。また、工期や納期についても具体的に記載されているかを確認しましょう。工事の進捗や遅延についても、契約書に明記しておくことで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。

さらに、支払い方法や支払いのタイミングについても慎重に確認しましょう。一般的には、契約時に一部前払い、工事完了後に残額を支払う形が多いですが、支払いのタイミングや金額に不明点がないか確認することが重要です。契約後の変更や追加工事についても、事前に同意を得てから進めるようにしましょう。

まとめ

飲食店の内装工事を成功させるためには、信頼できる業者を選定することが重要です。業者選定の際には、複数の業者に見積もりを依頼し、丁寧に話し合いができる業者を選ぶことがポイントです。また、契約時には工事内容や費用、支払い方法などをしっかりと確認し、納得のいく形で契約を結ぶことが必要です。これらの注意点を押さえ、理想の飲食店を実現するために最適な業者を選びましょう。

この記事を書いた人

青島 雅人

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

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