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飲食店内装

2024.08.23

飲食店の魅力を引き出す照明設計|空間を魅力的に演出する照明の選び方

飲食店において、照明は空間の雰囲気を左右する重要な要素です。適切な照明設計を行うことで、料理の魅力を引き立てるだけでなく、訪れるお客様に心地よい時間を提供することができます。

例えば、和食店なら落ち着いた明るさと温かみのある光が、イタリアンレストランではスタイリッシュで柔らかな照明が、カフェではリラックスした雰囲気を演出する照明が求められます。このように、店舗のコンセプトに合った照明を選ぶことが重要です。

この記事では、「飲食店 照明」をキーワードに、基本知識から業種別の活用法、さらに理想的な食事空間を作るためのポイントまで詳しく解説します。店舗の雰囲気作りを考えているオーナー様や、飲食店のリニューアルを検討されている方にとって、役立つ情報をお届けします。

目次

飲食店照明の基礎知識|理想の雰囲気を作るための基本ルール

店内全体を暖かい光で包む間接照明を強調したカフェの写真。

飲食店における照明は、単に明るさを提供するだけでなく、空間の雰囲気や顧客体験に大きな影響を与えます。照明設計の基本を理解し、店舗のコンセプトに合った最適な照明を選ぶことで、お客様にとって魅力的な空間を提供することが可能です。

照明の基本を押さえて理想的な空間作りを

店舗照明の設計では、光の種類や配置が空間全体の印象を左右します。光束、照度、輝度、演色性、色温度など、照明に関する基礎知識をしっかりと把握することが大切です。これらを適切に活用することで、店舗の特徴を引き立てる照明計画が可能になります。

照明の基本を押さえ、理想の空間を作るためには、空間全体を考慮して計画を進める必要があります。照明器具の選び方や配置はもちろん、各時間帯やシーンごとの調整も欠かせません。

光束、照度、輝度の違いを理解しよう

照明設計を成功させるためには、光束、照度、輝度の違いを正しく理解することが重要です。

  • 光束(ルーメン):光源が発する光の総量を表し、空間全体の明るさを左右します。
  • 照度(ルクス):対象物が受ける光の強さを示します。例えば、テーブル上での料理が見やすくなるよう、適切な照度を確保しましょう。
  • 輝度(カンデラ):光の方向性や明るさを示します。アクセント照明や間接照明で、特定のエリアを強調する際に活用されます。

これらを適切に理解することで、目的に合わせた照明計画が可能となり、店舗全体の印象を向上させることができます。

演色性と色温度でムードをコントロール

演色性は、光が物の色をどれだけ自然に見せるかを評価する指標です。高い演色性を持つ照明を選ぶことで、料理の見た目が美しくなり、お客様の食欲を刺激します。

また、**色温度(ケルビン)**を使い分けることで、空間の雰囲気を効果的にコントロールできます。

  • 暖色系(2,700K〜3,000K):温かみを感じさせ、リラックスした雰囲気を作ります。
  • 中間色(3,500K〜4,500K):自然で柔らかな光が特徴で、どんな業態にも適応可能です。
  • 寒色系(5,000K以上):明るく清潔感があり、活気を演出します。

これらの特性を活かし、店舗のコンセプトに沿った照明計画を立てることが大切です。

店舗の雰囲気を決定する照明の選び方

照明の選び方ひとつで、店舗の雰囲気やお客様が感じる印象は大きく変わります。明るさや光の色味だけでなく、照明器具のデザインや配置にも注目して選ぶことで、より洗練された空間を作り出せます。

店舗の特徴やターゲット層に合わせて、照明の演出ポイントを明確にすることが重要です。例えば、落ち着いた雰囲気を求める場合と、活気を演出したい場合では、照明の選び方が大きく異なります。

照度と色温度で店舗のムードを演出

照明の選び方によって、店舗のムードは大きく変わります。落ち着いた雰囲気を求める場合は、低めの照度と暖色系の照明を選び、リラックスできる空間を作り出します。一方で、活気を演出したい場合は、高めの照度と寒色系の照明を活用し、明るく元気な印象を与えます。

また、照明の配置にも注意を払いましょう。天井の高さや光の反射を考慮し、光が均一に広がるよう工夫することで、快適な空間が生まれます。

昼夜の照明設計で一日の流れに合わせる

飲食店では、昼と夜で求められる雰囲気が異なるため、それに応じた照明設計が必要です。昼間は自然光を活かしつつ、補助的な照明で明るさを調整することが効果的です。一方で、夜間は照明が主役となるため、間接照明を活用して温かみやムードを演出します。

時間帯ごとの照明計画を立てることで、店舗の雰囲気をより効果的にコントロールできます。

照明の明るさでお客様の体験を向上させる方法

照明の明るさを適切に調整することで、お客様の店舗体験を大きく向上させることができます。特に飲食店では、時間帯やシーンに応じた明るさの使い分けが重要です。

昼間と夜間で異なる照明の使い分け

昼間の営業では、自然光を補完する形で照明を調整します。特に窓際の席では、自然光の入り方に合わせた柔軟な照明設計が求められます。夜間は、間接照明を活用し、温かみのある光で落ち着いた雰囲気を提供することがポイントです。

営業時間別に最適な照明設計を実現しよう

営業時間によって照明の使い方を変えることで、お客様に最適な環境を提供できます。例えば、ランチタイムでは明るく元気な印象を、ディナータイムでは静かで落ち着いた雰囲気を演出します。

時間帯に応じた照明設計を行うことで、お客様が過ごす時間をより特別なものにできます。

飲食店照明の活用術|業種別に最適な照明デザインとは

カフェの間接照明が柔らかな雰囲気を演出している店外写真

飲食店の照明は、店舗の特徴や業種に応じた選び方をすることで、競合店との差別化を図る強力なツールとなります。適切な照明デザインは、顧客の記憶に残る雰囲気を作り出し、リピート率の向上にもつながります。

業種に合った照明選びで店舗を差別化

飲食店の照明は、その業種によって求められる役割が異なります。店舗の雰囲気を左右する照明の選び方にこだわることで、他店とは一線を画す独自の魅力を引き出すことができます。

和食店の落ち着いた照明設計

和食店では、穏やかで落ち着いた雰囲気を演出することが重要です。照明は暖色系を基調とし、色温度を2,700K〜3,000K程度に設定すると、心地よい温かみを感じさせる空間が作れます。

また、間接照明を活用して、柔らかな光で空間全体を包み込むように設計することで、和食特有の静けさと品格を演出できます。お客様がリラックスしながら食事を楽しむ空間を提供することが、和食店照明の成功ポイントです。

イタリアンレストランにぴったりな照明演出

イタリアンレストランでは、スタイリッシュかつ温かみのある光が求められます。色温度は3,000K〜3,500Kの中間色を選ぶと、洗練された印象を与えられます。

さらに、ペンダントライトやシャンデリアなどのデザイン性の高い照明器具を取り入れることで、特別感を演出することが可能です。テーブルごとに適切な照度を確保しつつ、料理が映える演色性の高い照明を使用することで、料理の魅力を最大限に引き出すことができます。

カフェに最適な温かみのある照明

カフェでは、リラックスした居心地の良さが求められるため、暖色系の照明が適しています。間接照明を多用し、柔らかな光で包み込むような空間を作りましょう。

また、木材やファブリック素材との相性が良い照明器具を選ぶことで、ナチュラルな雰囲気をさらに引き立てることができます。色温度は2,700K程度が目安で、落ち着いた空間を提供することで、長時間滞在したくなるカフェの魅力を作り出します。

間接照明とダウンライトで店内の雰囲気を変える

照明器具の種類を使い分けることで、店舗の雰囲気を大きく変えることができます。間接照明ダウンライトは、その代表的な手法であり、組み合わせることでさらに多彩な空間演出が可能です。

間接照明で空間に温もりをプラス

間接照明は、壁や天井を反射させて柔らかな光を広げることで、空間に奥行きと温かみを生み出します。飲食店では、ソファ席や個室に間接照明を配置することで、特別感を演出できます。

特に、和食店やカフェでは間接照明が効果的です。光源が直接見えないため、目に優しくリラックスできる環境を提供します。また、LEDストリップライトを棚やカウンターの裏に取り付けることで、視覚的に洗練された印象を加えることができます。

ダウンライトを使って洗練された印象を演出

ダウンライトは、特定のエリアを照らすことで、洗練されたモダンな印象を与える照明方法です。例えば、イタリアンレストランでは、テーブル上をダウンライトで照らし、料理を視覚的に強調することができます。

また、店舗全体にバランスよく配置することで、明暗のコントラストを調整し、空間全体の印象を統一することが可能です。光の向きや広がりを調整することで、多様な雰囲気を作り出せるのがダウンライトの魅力です。

業種に応じた照明選びと間接照明やダウンライトの活用は、飲食店の魅力を最大限に引き出すカギです。店舗の個性を際立たせ、お客様に心地よい体験を提供するために、これらの照明デザインを積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

飲食店照明で作る理想的な食事空間|印象を変える照明の使い方

シドニーのモダンなカフェテラス

照明は、飲食店の空間デザインにおいて最も重要な要素の1つです。適切な照明を選ぶことで、店舗の印象を大きく変え、訪れるお客様に特別な体験を提供することができます。以下では、照明を活用した店舗の印象作りや、食事体験を向上させる方法について具体的にご紹介します。

照明で店舗の印象を大きく変える方法

照明の色や明るさは、店舗の雰囲気を大きく左右します。店舗のコンセプトやターゲット層に応じて照明を工夫することで、他店とは異なる独自の魅力を生み出すことができます。

リラックスした空間を作る暖色系照明

暖色系の照明は、温かみがありリラックスした雰囲気を演出するのに最適です。色温度が2,700K〜3,000K程度の照明を使用することで、穏やかな光が空間を包み込み、心地よい空間を作り出します。

特に、カフェや和食店など、静かで落ち着いた雰囲気を求められる店舗に適しています。暖色系照明は、人の心理に安心感を与え、お客様が長時間滞在しやすい環境を整えます。また、木材や自然素材を使ったインテリアとの相性が良いため、店舗全体の一体感を高める効果もあります。

活気を生み出す明るく元気な照

一方で、明るく元気な印象を与える照明は、活気ある空間を演出するのに適しています。色温度が4,000K以上の寒色系照明を選ぶことで、店舗全体が明るく清潔感のある雰囲気になります。

ファストフード店や繁忙期の居酒屋では、明るい照明が効果的です。お客様に元気な印象を与え、短時間での回転率を向上させる効果があります。また、寒色系の光は視覚的に広がりを感じさせるため、店舗を広く見せたい場合にも有効です。

食事の体験を照明でさらに特別なものに

照明は、料理の見た目や食事の質にも影響を与えます。適切な光を使うことで、料理をより美味しそうに見せたり、お客様が快適に過ごせる空間を作り出すことが可能です。

色温度を使い分けて食欲を引き出す

照明の色温度は、料理の見た目や食欲に直接的な影響を与えます。暖色系の照明は、料理を温かく美味しそうに見せる効果があり、特に肉料理や煮物など、温かみを感じさせる料理に適しています。

一方で、寒色系の照明は、サラダやデザートのような新鮮さを強調したい料理に効果的です。色温度を適切に使い分けることで、料理そのものの魅力を最大限に引き出すことができます。

【具体例】

照明の種類適した料理例効果
暖色系ステーキ、煮込み料理温かみを強調し、食欲を刺激する
寒色系サラダ、フルーツデザート新鮮さを強調し、視覚的に美しく見せる

ムードに合わせた照明で食事の質を向上

食事のシーンや時間帯に応じて照明を調整することで、食事の質そのものを向上させることが可能です。例えば、ディナータイムには間接照明を活用し、柔らかな光で落ち着いた雰囲気を作り出すと、お客様はよりリラックスして食事を楽しむことができます。

また、特別なイベントや記念日には、スポットライトを使用してテーブルや料理を強調することで、特別感を演出することができます。こうした細やかな工夫が、食事を単なる日常の一部から、思い出に残る体験へと変えてくれるのです。

店舗の照明は、お客様にとって居心地の良い空間を作り出すだけでなく、食事そのものをより魅力的に見せる力があります。ターゲット層や店舗のコンセプトに合わせた照明計画を立てることで、お客様の記憶に残る特別な空間を提供することができます。

照明設計のポイント|飲食店に最適な照明選びと配置法

レトロなランプ写真

飲食店における照明設計は、店舗の魅力を引き出すための重要な要素です。適切な照明を選び、配置することで、時間帯や季節に応じた快適な空間を提供できます。また、お客様の滞在時間や満足度にも大きな影響を与えるため、計画的な設計が求められます。

営業時間や季節に合わせた照明調整法

飲食店の照明は、時間帯や季節に応じて柔軟に調整することが求められます。自然光の入り方や店舗の利用目的に応じて、照明デザインを工夫することで、空間の印象を大きく変えることが可能です。

朝・昼・夜に最適な照明デザインで印象を変える

時間帯ごとに適した照明を選ぶことで、店舗全体の雰囲気を効果的に変化させることができます。

  • :朝の時間帯は、明るく自然な光を活用するのがポイントです。窓際からの自然光を最大限に活かしつつ、必要に応じて柔らかい白色光の照明を補助的に使用します。これにより、清潔感と活気を感じさせる空間を作り出します。
  • :昼間は、ランチタイムの賑やかさを引き立てるために、適度な明るさを保つことが重要です。均一な照明を心がけることで、店舗内全体が広く見え、お客様がリラックスしながら過ごせる環境を提供できます。
  • :夜は、間接照明を活用し、落ち着いた雰囲気を演出します。色温度を暖色系に調整することで、リラックスできる空間を提供できます。特にディナータイムには、各テーブルに焦点を当てた照明を使い、料理を美しく引き立てることも効果的です。

深夜の落ち着いた雰囲気を作る照明

深夜帯の営業では、お客様に安心感を与えつつ、静かで落ち着いた雰囲気を作る照明が求められます。明るさを抑えた間接照明や、暖色系のライトを活用することで、夜の空気感にマッチした空間を作り出せます。

また、深夜帯特有の静けさを強調するために、影を意識した照明配置を取り入れるのも効果的です。例えば、カウンター席や個室エリアでは、光と影のコントラストを利用して、視覚的にリラックスできる環境を提供することができます。

まとめ|飲食店の照明設計で店舗の魅力を引き出そう

飲食店の照明設計は、店舗のコンセプトや利用シーンに合わせた計画が重要です。時間帯や季節に応じた柔軟な調整を行うことで、お客様にとって居心地の良い空間を提供できます。また、照明が料理や店舗の雰囲気を引き立てることで、リピーターの増加や顧客満足度の向上にもつながります。

照明設計のポイントを押さえ、店舗全体の印象を統一しながら個性を活かすデザインを心がけましょう。それにより、飲食店としての価値を高め、多くのお客様に愛される店舗を実現できます。

この記事を書いた人

青島 雅人

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

大学卒業してすぐ金型の図面作成の業務を経験後、住宅業界で6年(営業と現場監督)、店舗設計業界で8年経験し、100現場以上担当してきた一級建築施工管理技士 & 建築士。これまで細かい図面作成はもちろんのこと、現場管理をする上での職人さんへのコミュニケーションは欠かさず、しっかりと現場を管理してきており、様々な会社様が協力関係にある。また、これまでの経験から、住宅だけでなく、飲食店やサロンなど店舗の建築を任されることが多い。お店づくりや建築にあたっての不安やお悩みはご相談はお任せください。

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